輪島わじま市しの「朝市あさいち通どおり」では元日がんじつに発生はっせいした火災かさいで大おおきな被害ひがいを受うけましたが、23日にち、地震じしんのあと初はじめて金沢かなざわ市しの金石かねいし港みなとに出張しゅっちょうして開ひらかれました。

会場かいじょうには「がんばろう、輪島わじま朝市あさいち」と書かかれたのぼりが立たてられ、朝市あさいち名物めいぶつのオレンジ色しょくのテントを使つかって通常つうじょうの3分ぶんの1にあたる29店舗てんぽが軒のきを連つらねました。

露店ろてんでは、金沢かなざわ市しで水揚みずあげされた魚さかなで作つくられた干物ほしものや、火災かさいを免まぬかれた輪島塗わじまぬりの箸はしなどが販売はんばいされ、訪おとずれた人ひとたちが出店しゅってん者しゃとの会話かいわを楽たのしみながら次々つぎつぎと商品しょうひんを購入こうにゅうしていました。

輪島塗わじまぬりのスプーンを購入こうにゅうした60代だいの女性じょせいは「朝市あさいちで出店しゅってん者しゃとお話おはなしして元気げんきをもらいました。これからも応援おうえんしていきたい」と話はなしていました。

干物ほしものを購入こうにゅうした40代だいの女性じょせいは「輪島わじまの朝市あさいちに行いったことはありませんが、楽たのしく買い物かいものができたので復興ふっこうしたらまた行いきたい」と話はなしていました。

朝市あさいち通どおりで食堂しょくどうを経営けいえいし今回こんかいの出張しゅっちょう開催かいさいを企画きかくした橋本はしもと三奈子みなこさんは「心こころが折おれそうになりましたが、出張しゅっちょう輪島わじま朝市あさいちがあるので、この3か月かげつ、頑張がんばることができました。出店しゅってん者しゃのいきいきとした姿すがたが見みられてうれしいです。輪島わじまでの再開さいかいを目指めざしてこれからも頑張がんばっていきます」と話はなしていました。

奇跡きせき的てきに耐え抜たえぬいた「いしる」で塩辛しおからを…

「出張しゅっちょう輪島わじま朝市あさいち」で、朝市あさいちの復活ふっかつを願ねがい、能登のと半島はんとう地震じしんを奇跡きせき的てきに耐え抜たえぬいた魚さかなしょうの「いしる」を使つかった塩辛しおからを販売はんばいした女性じょせいがいます。

南谷みなみたに良枝よしえさん（48）は、30年ねん以上いじょうにわたって輪島わじま朝市あさいちの露店ろてんで塩辛しおからや干物ほしものなどを販売はんばいしてきました。

南谷みなみたにさんは今月こんげつ中旬ちゅうじゅん、金沢かなざわ市しにある加工かこう場じょうで冷凍れいとう保存ほぞんしていた輪島わじま産さんのスルメイカを使つかって塩辛しおから作づくりを行おこないました。

この塩辛しおからに欠かかせないのが、祖母そぼから製法せいほうを受け継うけついだ能登のと地方ちほう特産とくさんの魚さかなしょう「いしる」だということですが、地震じしんで「いしる」の入はいったたるが倒たおれ、家族かぞく総出そうでで準備じゅんびした7トンもの「いしる」が販売はんばいできなくなりました。

南谷みなみたにさんは「ばあちゃんから『いしる』は3年ねん以上いじょう、熟成じゅくせいさせたものしか売うるなと言いわれていました。今回こんかいの地震じしんで受け継うけついだ大事だいじな宝たからがすべてだめになってしまった」と話はなしていました。

地震じしんのしばらくあと、全壊ぜんかいした倉庫そうこの中なかからタンクに入はいった「いしる」30キロ分ぶんが奇跡きせき的てきに見みつかったため、南谷みなみたにさんはこの「いしる」で塩辛しおからを作つくり、出張しゅっちょう朝市あさいちで販売はんばいしようと考かんがえました。

南谷みなみたにさんは「5、6年ねんかけて売うる分ぶんの『いしる』が全部ぜんぶだめになり、情なさけなくなってしまった。ほんの一いち握にぎりしか残のこっていないが、塩辛しおからなどを作つくって販売はんばいして出張しゅっちょう朝市あさいちを成功せいこうさせ、それを見みたほかの組合くみあい員いんが前向まえむきになって一緒いっしょに参加さんかしてもらうのが望のぞみです」と話はなしていました。

塩辛しおから作づくりを一緒いっしょに行いった南谷みなみたにさんの娘むすめの美び有ゆうさんは、おととしから朝市あさいちの露店ろてんで南谷みなみたにさんと2人にんで働はたらいています。

輪島わじま朝市あさいちの出店しゅってん者しゃの中なかでは最年少さいねんしょうの22歳さいです。

高校こうこう3年生ねんせいの時ときに、家業かぎょうの朝市あさいちの露店ろてんで職業しょくぎょう体験たいけんを行おこない、客きゃくとふれあう楽たのしさを学まなんだということで、母親ははおやのあとを継つぐことを決心けっしんしました。

イカをさばくのは初はじめてということですが、これまでたいやいわしで鍛きたえた包丁ほうちょうさばきで、手慣てなれた様子ようすでイカを切り分きりわけていました。

南谷みなみたにさんは「うちで作つくる『いしる』など輪島わじま朝市あさいちで昔むかしから売うられてきた食しょく文化ぶんかを若わかい自分じぶんの役目やくめとして未来みらいへつないでいきたい」と話はなしていました。

「いしる」使つかった商品しょうひん 2時間じかん足たらずで売り切うりきれに

23日にち、南谷みなみたにさんの露店ろてんには能登のと半島はんとう地震じしんが起おきた中なか、奇跡きせき的てきに無事ぶじだった魚さかなしょうの「いしる」を使つかったスルメイカの塩辛しおからやこうじ漬づけなどの商品しょうひんが並ならび、訪おとずれた人ひとが次々つぎつぎと買い求かいもとめていました。

貴重きちょうな「いしる」を使用しようしたイカの塩辛しおからを用意よういできたのはおよそ30パックだったということで、2時間じかん足たらずで売り切うりきれました。

群馬ぐんま県けんから訪おとずれた40代だいの女性じょせいは「南谷みなみたにさんの塩辛しおからを購入こうにゅうしたくて来きました。震災しんさいを乗り越のりこえてこれからも頑張がんばってほしい」と話はなしていました。

また、金沢かなざわ市しの30代だいの女性じょせいは「おいしそうだったのでこうじ漬づけを購入こうにゅうしました。購入こうにゅうすることで少すこしでも朝市あさいちを応援おうえんできればうれしい」と話はなしていました。

出張しゅっちょう開催かいさいが終おわり南谷みなみたにさんは「開催かいさいできたことに感謝かんしゃの気持きもちでいっぱいです。懐なつかしいお客おきゃくさんとも再会さいかいし抱き締だきしめ合あいました。皆みなさんとまたお会あいできるようこれからも頑張がんばっていきたい」と話はなしていました。

娘むすめの美び有ゆうさんは「お客おきゃくさんと久ひさしぶりにお話おはなしできて楽たのしかったです。時間じかんはかかると思おもいますが輪島わじまで朝市あさいちが復活ふっかつした際さいは全国ぜんこくの人ひとが輪島わじまに訪おとずれてほしい」と話はなしていました。